食べつくこと
食べつくこと
振風苑では食を大切に考えています。
利用者様一人一人の、性別、年齢、体重、基礎代謝量などを考慮して給食を提供させて頂いています。
体重が増加ぎみの方は良質なタンパク質と野菜たっぷりの食事です。調理法も、できるだけ過剰な油分は避けるため蒸す、煮る、焼くという調理法で食材を生かします。
病後で体力を回復する必要のある方は、医師に相談しながら高たんぱく、高カロリー、高ビタミンの食事に配慮して提供させて頂きます。命を繋ぐためには、口から入る栄養が一番です。健康な方は、さほど分かりにくいかも知れませんが、病後や体力が低下されている方にとっては、一食でもその摂取の仕方で大きな違いが生まれます。
以前、母を介護したときに辰巳芳子さんの「あなたのために~命を支えるスープ」という本に出会いました。その本は普通に勧めても食べつくことが出来ない方へ、無理強いではなく知恵と工夫と愛で、心身ともに弱った方の食を支える内容でした。
今日もAさんは食事を口にすることが出来ず、皆さんが「御馳走様でした。」と言って食堂から出た後も一人残っていました。
そこに介助にやってきたのはベテラン看護師Nさんです。
Nさんは食材を口中に入れられないAさんに、始めは歌うような語るようなやさいい口調でいろいろ話かけながら、「一口で言いから食べてごらん」と言いながら、Aさんが食べやすいように工夫していました。気付けばAさんは自力で食事を完食されています。二人のやり取りが温かく、居合わせた私まで何だか嬉しくなっていました。…支援という言葉を本当に理解したような気持ちになりました。