成長
成長
一年前振風苑に入苑したての頃のUさんは、食事を摂取することが難しく目の前にあるお盆、お皿などはすぐにひっくり返していました。不機嫌な表情や怒ったような表情も多く見られ気に入らないとポカリと長い手足が飛んで来ます。
担当になったHさんは初めての環境に慣れていないHさんの心情やこれまでの背景などを考えながらUさんと向き合いました。
出来ないことや問題と思われる行動を取り上げることはせず、Hさんが最初に取り組んだことは笑顔でUさんに話かけることでした。いつも明るい声と笑顔で時には歌うように話かけたり、おもしろおかしく語りかけるなどしてHさんに寄り添っていました。「心配しないで。私はあなたのことを思っているの。楽しいことに目を向けて見ましょう。」言葉にすればこんなメッセージをUさんに送り続けていたようです。
Uさんは一月、二月、三か月…と経つうちに本来のチャーミングな笑顔が見られるようになり、大変かわいらしいゼスチャーで周囲の人とコミュニケーションが取れるようになりました。その頃には昼食で用意されたお盆をひっくり返すこともほとんどなくなりました。
振風苑は担当制で利用者様の支援に取り組んでいますが、学校時代の学級担任制度とは少し違います。総勢17名のスタッフがチームワークでアプローチします。担当職員が関わる時間は多いのですが、活動内容や場面の展開時には生活支援員、看護師、管理者等が交代で関わらせて頂いています。又担当職員を他の支援員、主任、副主任、管理者等が支え利用者様のサービスがより良い内容にになるようチームで取り組んでいます。
Uさんが落ち着いて過ごせるようになった背景には利用者同士のコミュニケーションの力が大きく働いています。時にはスタッフでは埋められないような絆が生れ私たちに人として生きる喜びや大切なことを教えて下さいます。
皆様がUさんのように毎日を生き生きと暮らして頂くことを振風苑スタッフ一同願っています。